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いつでもBom Apetite!

デリカテッセンのお肉ランチでムフフ

2017/06/11 18:00 昼ごはん イベント

   3時間近くに及ぶ、気力・体力勝負のピアノレッスンを終えた土曜日の午後、遅いランチを取ろうと私が向かったのは、以前から目を付けていたレトロな雰囲気のデリカテッセンの2階に併設するサンドイッチルームである。


   昭和24年に日本初のデリカテッセンとして創業したというこのお店、村上春樹の小説にも登場する。


“十二時五分に電話がかかってきた。ユキだった。

 「元気?」と彼女は言った。

 「とても元気だよ」と僕は言った。

 「今何してるの?」と彼女は言った。

 「そろそろ昼飯を作ろうかなと思ってたんだ。ぱりっとした調教済みのレタスとス モーク・サーモンと剃刀の刃のように薄く切って氷水でさらした玉葱とホースラデ ィッシュ・マスタードを使ってサンドイッチを作る。紀ノ国屋のバター・フレンチがスモーク・サーモン・サンドイッチにはよくあうんだ。うまくいくと神戸のデリカテッセン・サンドイッチ・スタンドのスモーク・サーモン・サンドイッチに近い味になる。うまくいかないこともある。しかし目標があり、試行錯誤があって物事は初めて成し遂げられる」

 「馬鹿みたい」

 「でも美味しい」と僕は言った。”

 (村上春樹「ダンス・ダンス・ダンス」上巻、講談社、1988年刊より)


   この日のランチの目的は、村上小説にも出てくる美味しいと有名なスモークサーモンをはじめ、このお店で取り扱うハム・ソーセージの類を「味見」し、贈答品として喜んでもらえそうかどうかを確かめること。そのために、少しずついろいろ味わえる土日祝限定 休日ランチの「居留地セット」(ローストビーフ、本日のハム・ソーセージ、サラダ、パン、スープ、季節のゼリー寄せ)をオーダー。ついでにキリッと冷えた白ワインも頼んじゃう。話は脱線するが、昼間にゆっくりと味わうお酒って、なぜこんなに贅沢な気分にさせてくれるんだろうね?


  運ばれてきた大きなプレートの上には、てんこ盛りのサラダとたくさんの種類のハム、チーズ、そして程よく温められバターがしみ込んだパン。噂のスモークサーモンがおいしかったのはもちろんのこと、甘めのきゅうりのピクルスも私好み、ハムもチーズも一口食べればムフフと自然と笑顔になる美味しさだったが、それ以上に感動したのはローストビーフ! 芸術的な薄さにカットされているのだが、旨みをたっぷり含んだサシの入ったお肉を使っているせいか、口に含んだ途端にホロリとほどけて薄さが心地よい。


    あー、このローストビーフを贈答用にしたらさぞ喜ばれるだろうに……。しかし小さなひと塊ですら目玉の飛び出るようなお値段な上に、贈答用となるとまさかこの塊だけをお届けするわけにはいかない。それに何度も繰り返すが、重要なのはこの、家庭で再現できないであろう「極薄切り」だと思う。


   そんなわけで、ランチ後は1階のデリカテッセンに寄り、パストラミポークやロースハム、ボロニアソーセージなどのギフトセットを選んで、発送を依頼した。宛先は父、到着予定日は父の日。


   父よ、件のローストビーフは、神戸にお越しの際、一緒に食べに参りましょう。

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